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たいようブログ

2023.07.26

ツバメー自然淘汰なのか?編

いよいよ猛暑が始まりました。今年もこの時期は 第二弾 “ツバメ-自然淘汰なのか?編” でお送りします。今回は少し悲しい話です。

4月中旬頃にやって参りました。まずは、昨年の巣の修復に勤しんでいます。

ツバメが同じ巣に繰り返し戻ってくる率は、6年以上で約6割という調べ(雑学カンパニー:2023.7.27)や雄・雌のどちらかが戻って来る確率は15%との報告(ツバメブログ2:2016より)があります。同じツバメが元の巣に戻るのは、ツバメの寿命から考えて2回ぐらいと言われています。

遂にお家の完成です。約2週間ほどかかりました。昨年のツバメたちは、巣の淵に藁を積み重ねていましたが、今年のツバメたちはシンプルで行くようです。ということは、昨年のツバメではないという可能性があります。

そして、すぐに産卵し、2週間ほど抱卵していました。ある日「ピーピー」という子つばめの鳴き声が聴こえ、待つこと2週間弱ほどで、ヒナが顔を出しました! 数えると、5羽いるようです。可愛い「つば九郎」たちのお目見えです。

ここから親鳥たちの連係プレーで子育てがヒートアップしていきます。

親鳥がエサを運ぶ回数は各説ありますが、ヒナ5羽がいる巣で1日で639回もエサを運ぶ親鳥がいるという報告もあり、1分間に1回の計算になります。確かに、頻回に親鳥が交互に巣に帰ってきていました。

そして、すくすくと成長し、やっと子つばめたちの巣立ち、というところで事故は起きました。

ある日、出勤するとステーションの歩道の上をつばめ数匹が飛び回っていました。何事かと確認すると、その下には巣立ちしたばかりであろう子ツバメが横たわっていました。おそらく、電線に触れたかと思われ、もう虫の息でした。タオルで軽く包んで暗い静かな場所に寝かせていたのですが、やはりだめでした。周囲を飛び回っていたのは親鳥だったのでしょう。

前年は触れませんでしたが、孵化したばかりの殻付きのヒナが巣から落ちていたのを発見し、素手で触れないよう巣へ戻したという経緯がありました。その後は、何事もなかった(?)ようで無事に巣立ちを迎えられました(と思っています)。

今回は残念な結果に終わってしまったのですが、そこで前年のことが思い出されたのです。例え、人間がその場しのぎに手を貸したとしても、自然淘汰は免れないのではないか、と。人によっては、野生の生き物は自然に任せるべきという意見をお持ちの方もあるようです。ですが、やはり目の前にいる弱った小さな子ツバメを放置するという手段はないと思うのです。

日本野鳥の会の調査によると、近年、ツバメの減少が指摘され、その原因は里山の自然や農耕地の減少、西洋家屋の増加があるようです。したがって、ツバメの繁殖は人の生活と密接なつながりがあり、山間の集落などで減少が進んでいることにあります(藤田,2015,全国鳥類分布調査ニュースレター Vol.3)。その意味では、ツバメは人と自然との共存を象徴する野鳥なのですね。

私たちにできることは、一人ひとりがツバメの子育てを優しく見守ることです。そして、ツバメの住みやすい街を作ることで、私たちにとっても住みやすい街になるように助力していきたいと思います。